ちょっと富士山登ってくる
〜 拝啓、富士山に登ったことのない人へ 〜
私たちのまちにある富士山。
しかし、地元の人は「富士山は登るものではなく、見るもの」として、頂上まで登ったことがある人は多くありません。
取材させていただいた私たちも、5合目までしか行ったことがありません。
そんな富士登山初心でもある私たちが今回お話を伺ったのは、
富士山の山小屋で働く刑部さんと岩佐さんです。
刑部さんは、富士山の8合目にある富士山ホテル。岩佐さんは富士山7合目の鎌岩館という山小屋で働いています。
意外と知らない『山小屋の秘密』を、今回はお聞きしてきました。
その内容をインタビュー形式で紹介させて戴きます!
Q1 山小屋の維持費っていくら?
各山小屋で、費用は全然変わってくるよ。
例えば落石によって小屋が潰れたりしてしまう場合など、その都度修繕費がかなりかかってしまうんだ。
ちなみに、7合目の仮設トイレでは2ヶ月で700万円かかるんだ。この700万円は人件費や運送費など全て込んだものだよ。
Q2 休憩(仮眠)料は、何に使われているの?
寝室はこんな場所です。
このお金は、維持費、人件費、食費、屎尿処理、輸送費などに使われているよ。
1番かかるのは輸送費。
沢山の荷物を運んでいるので、たくさんのお金がかかるんだ。
Q3 山小屋の人は普段どんな生活をしているの?
これも各山小屋や働いている人で変わってくるけど、ざっくりとしたスケジュールはこんな感じです。
山頂から御来光を見たいというお客さんのために午前3時に起床。
山小屋内の点検・朝食の準備を済ませて4時過ぎにお客さんを起こすよ。
お客さんが出発するのは5時半過ぎなので、お客さんが出発したら8時まで掃除や発電機のチェック。
電線を引けない山の上では電気も自給自足なので、山小屋の近くに発電機を置いてあるんだ。そして9時からは荷上げという作業が始まるよ。
富士山の麓から食べ物や生活消耗品を持ってきてもらい、山小屋で出たゴミなどを麓に運んでもらう。
荷上げ作業が終わったら一旦休憩。
仮眠を取る人やお茶する人早めにお昼ご飯を食べる人など人それぞれだよ。
そしてまた、午後1時から次のお客さんさんのチェックインが始まる。
その後は人それぞれで色々しているよ。
0時ぐらいには、就寝。
忙しいときは寝ないで働く時もあるんだ…!
Q4 山小屋にはお風呂はあるの?
山小屋にお風呂はないんだ。
でもお風呂がないのにはちゃんと理由があるんだ。
標高の高い地域にある山小屋は高山病や低体温症になりやすいため、体温の急な上昇・低下を防ぐためにあえてお風呂を設置していないんだよ。
山小屋で働く人たちはお風呂は数日に一度だけ。
山小屋は水を引いているわけじゃないので雨水を溜めてお風呂を使っている、いわば自給自足だよ。
Q5 富士山に登ってほしい人は?
各個人の願いを叶えたいときに登ってみたらいいと思う。
安産祈願や宗教、交通安全とか。あとは人生の節目とかかな。
卒業記念や結婚前など。
地元の人には、梅雨の時期や9月に登るのは人混みが少なくてオススメ!
Q6 富士山に登ったきっかけは?
両親が山小屋で働いていて物心つく前から登っていた人、山小屋で働いてから富士山に登った人などさまざまだよ。
Q7 山小屋で働いている人は、冬はどんな生活を送っているの?
山小屋で働いている人たちのメインは夏。
冬の時期はみんなそれぞれの仕事をしているよ。
自営業でお店をやっている人や、ボランティア活動に参加する人、山小屋の管理をする人などさまざまだよ。
でも山小屋が休みの時期は10月からの3ヶ月間ほどで、4月5月には山小屋の予約が開放されるので意外と忙しいんだ。
山小屋で働く人たちも、それぞれのやり方があるんだよ。
インタビューを終えて
正直、私たちも富士山の様々な料金が少し高いなあと思っていました。
しかし、その理由には、山小屋の維持費や輸送費には地上よりコストがかかるため、トイレ料金や飲食の料金を高くしていることがわかりました。
また、山小屋で働く人の1日のスケジュールはとても大変なものでした。
朝起きる時間が3時にはとても驚きました。「私が課題に追われているときに寝る時間じゃん!」と思いました。
そして、山小屋は、思っていた以上に重労働が多く、みなさんの話を聞いたら、言葉の重みがありました。
シャワーがない話など、清潔感などで気になる人もいると思ったのですが、高山病・低体温症になりにくくするという、お客さんの健康を第一に考えている、優しさを感じました。
富士登山の裏側には、山小屋の人の努力と、登山ができる2ヶ月間、安全に登れますように…という想いの強さがあることを知りました。
インタビューをして知らなかったことをたくさん教えてもらえて知識が増えてよかったです。
来年、私たちも受験生なので、登山をしてみたいと思うようになりました。
岩佐さん、刑部さん、お忙しい中ありがとうございました!